10代で抜け毛が増えたと感じるとき、「これって普通のこと?それとも何か病気のサイン?」と不安に感じるのは当然のことです。実は、ある程度の抜け毛は、髪の毛の成長サイクルにおける正常な生理現象であり、誰にでも起こることです。しかし、その量が異常に多い場合や、特定の症状を伴う場合は、注意が必要です。まず、生理現象としての抜け毛について説明します。髪の毛には成長期、退行期、休止期というサイクルがあります。成長期が最も長く、毛根から新しい髪が作られ、成長します。その後、髪の成長が止まる退行期を経て、休止期に入ると、毛根が活動を停止し、自然と髪の毛が抜け落ちます。そして、また新しい髪の毛が生えてくる、というサイクルを繰り返しています。1日に50本から100本程度の抜け毛であれば、これは正常な範囲内であり、過度に心配する必要はありません。しかし、それ以上の抜け毛が続く場合や、お風呂の排水溝が詰まるほど、枕に大量の髪の毛が付着するなどの場合は、注意が必要です。次に、病気のサインとしての抜け毛についてです。10代で特に注意したいのは、円形脱毛症です。これは、コイン状に髪の毛がごっそり抜ける特徴があり、ストレスや自己免疫疾患が原因とされています。急激に進行することもあるため、発見したらすぐに皮膚科を受診すべきです。また、脂漏性皮膚炎も抜け毛の原因となることがあります。頭皮がベタつき、フケやかゆみ、赤みを伴い、炎症が毛根に悪影響を与えて抜け毛を誘発します。これも皮膚科での治療が必要です。ホルモンバランスの乱れも、10代の抜け毛に関わることがあります。思春期はホルモンバランスが大きく変化する時期であり、甲状腺機能の異常など、内分泌系の疾患が抜け毛の原因となることもあります。この場合も、専門医による診断と治療が不可欠です。さらに、無理なダイエットによる栄養失調や、特定の薬剤の副作用、精神的なストレスが極度に高まった場合にも、一時的に抜け毛が増えることがあります。これらは病気とまでは言えなくとも、体からのSOSである可能性が高いです。見極めのポイントとしては、「抜け毛の量」、「抜け毛の形状」、「頭皮の状態」、「脱毛の仕方」などです。これらの変化に気づいたら、安易に自己判断せず、早めに皮膚科医や毛髪専門医に相談することが、適切な対処に繋がります。