私の髪の悩みは、40代後半に差し掛かった頃から、まるで静かな警告のように始まりました。若い頃は髪が多いことが悩みだったのに、気づけばシャワーの後の排水溝を見るのが怖い。ドライヤーで髪を乾かしても、以前のようなふんわり感はなく、ぺたんと頭に張り付いてしまう。鏡に映る自分の頭頂部を見るたびに、自信が少しずつ削られていくのを感じていました。そんな時、インターネットで目にしたのが女性用の育毛剤でした。正直、最初は半信半疑でした。「気休めにしかならないのでは」「本当に効果があるのだろうか」。そんな疑念が頭をよぎり、購入をためらう日々。でも、悩んでいるだけでは何も変わらない、という思いが勝り、ある日、意を決して一本の育毛剤を手に取りました。私が選んだのは、口コミで評価が高く、刺激が少ないとされる天然由来成分中心のものでした。その日から、私の夜の習慣が一つ増えました。お風呂上がりの清潔な頭皮に、育毛剤を数滴垂らし、指の腹で優しくマッサージする。たった数分のことですが、この行為が、私に思いがけない変化をもたらしてくれました。使い始めて一ヶ月ほど経った頃、まず感じたのは、抜け毛の減少でした。あれほど私を憂鬱にさせていた排水溝の髪の毛が、明らかに減っていたのです。そして三ヶ月が過ぎる頃には、髪を乾かした時に、根元が少しだけ立ち上がるような、微かな手応えを感じるようになりました。劇的に髪が増えたわけではありません。でも、それ以上に大きな変化は、私の心に訪れました。毎日自分の頭皮をマッサージするという行為は、「自分を大切にケアしている」という実感を与えてくれました。それは、失いかけていた自己肯定感を少しずつ取り戻すプロセスでもありました。育毛剤を使うという「行動」が、私に前を向く勇気をくれたのです。今では、鏡を見るのが怖くなくなりました。育毛剤は、私の髪だけでなく、心にも栄養を与えてくれる、大切なお守りのような存在です。